見立浄瑠璃百人一首

<碧翠亭>


 一 大納言兼秋
秋の田のかり穂の庵の苫をあらみわが狩衣はどてらとなりける (勘定場)
 
 二 太宰後室
嫁入りに水灌頂とながしけるころもほすてふ妹背山かな (さるんど)
 
 
 五 戸無瀬
山科に雪踏み分けて尺八の音を聞くときぞ娘愛しき (勘定場)
 
 六 斎藤別当実盛
篠原や池水に洗ふ鬢髭の白きを見れば余と知らるべし (勘定場)
 
 
四〇 お染
しのぶれど色に出にけりわが恋は丁稚を恋ふと母の知るまで (さるんど)
 
 
六四 土師兵衛
朝ぼらけ太郎が息も絶え絶えに露はれ出づる我が悪巧み (勘定場)